麻生太郎氏に学ぶ、対中国・領土問題戦略「中華民国製地図」

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かつて麻生太郎元首相から聞いた話だが、麻生氏が中国を訪問するときは、必ず中華民国製地図をもって行くらしい。で、尖閣諸島の領有問題の話題がでると、その地図を見せる。「この地図、おたくの国で作ったものですね、と言えばそれで相手は黙り込む」と笑っていた。民国地図では尖閣諸島は日本領と明記されている。中華民国は中国なのか、という意見はあるだろうが、中国当局者が「中華民国は別の国ですから、関係ありません」と言えるわけもないので、黙るしかない。

つまり立場上、絶対に口に出さないが、中国政府の官僚政治家たちは、よっぽど無知でないかぎり尖閣諸島、中国的に言う釣魚島が日本の領土として保有されていたという認識はあり、中国側の主張に理論的裏付けが甘いことも承知の上だ。今中国側の釣魚島領有論の根拠は、明朝、清朝時代の史料にあるが、明朝も清朝も今は存在しない滅びた国であり、その国を滅ぼしたのは共産党でも中国人民共和国でもない。政治家は政治的立場から言うことは言っても、外交上、あまりに国際常識からかけ離れたふるまいはできない(たまにやるけれど)。

今回の尖閣諸島国有化論が出た後も、ニューヨークでは1000人規模の反日華人デモがあったが、中国が本気で野田政権に圧力をかけようと思えば、在日華人を1万人くらい動員して官邸前でデモをさせたことだろう。そのあたりを観察すれば、今のところ尖閣問題に対しては様子見の姿勢を保っている。これは政権交代前で内政が大変すぎて、対日外交にそこまで気を回せないこともあろう。

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